小さい頃、萩は田舎のあちこちでブッシュ状になっている枝ぶりを見慣れていたし、また関東地方に住むようになって、公園や庭園で見かけていたので、庭木や鉢で楽しむものとは思っていなかった。 萩は2〜3メートルと大きくなるものばかりと思っていたが、萩にも30〜60センチとなるマキエハギ(蒔絵萩)と言う小ぶりのものもあると去年知った。 また昨年9月、花屋で鉢花としても出回っていて、自宅でも鉢管理で育てられかもと思って求めたエドシバリ(江戸絞り)と言う銘のハギ(萩)。 欲しかった小ぶりのマキエハギが無かったので、エドシボリ(江戸絞り)と言う銘のラベルを見ると、花は白地に紅絞りの珍しいもので、茶花にも向き、花付も良いとあった。 そして日当たりが良く水はけの良い所を好むが半日陰でも良く育つ、との記載があったので求めて来たものだ。 ハギ;エドシンボリ(江戸絞り)2006/09/23 ハギはマメ科独特の根粒菌を持ち、空中から窒素を取り入れて痩せ地でも育つので、花後肥料も与えずに、また植え替えもしなかった。 鉢の儘置いていたら、冬場葉が枯れて枝だけ残っていたので、地際から剪定して地上部を無くして管理した。 春になってまた新しい枝が出、柔らかい葉が出てきて、去年求めた時以上の木姿となった。しめしめ〜と思って秋に花が咲くものと思っていたら、もう6月には蕾が出来、中旬には開花していた。 白地に紅絞りの花色は、本で見るキハギやツクシハギと言うのに似ているようだ。枝もミヤギノハギのように長く伸びず、小ぶりで鉢花としても育てやすい。 あれからずっと花が咲き続け、今でも花付が良く結構花期が長い。 萩と言う字は、草冠に秋と書き、秋の代表の花として日本中何処に行っても見られ、アジア、北アメリカにも約40種が分布すると言う落葉低木、また草木だ。 万葉の時代には、「秋の七草」の代表として萩がトップにくる花だが、141首も萩の歌が一番多く詠われている。 「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」(万葉・巻八 1538 山上憶良) 「春日野に咲きたる萩は片枝はいまだ含(ふふ)めり言な絶えそね」(万葉・巻七 1363) 「見まく欲り恋ひつつ待ちし秋萩は花のみ咲きて成らずかもあらむ」(万葉・巻七 1364) また万葉では萩の字として、「芽、芽子、波疑、波義」の字が使われているそうだ。 ハギの語源は、毎年根茎から芽をだすハエギ(生芽)からとも言われ、萩の漢字は平安時代以降使われたそうで、方言でも「ハギッコ、ハギッチョ、ハグシコ、ハゲコ」などの呼び名もあって親しまれていると言う。 ハギは九州から北海道まで日本中何処にでも自生していて、その大株にしな垂れた枝枝に咲く鮮やかな花色と花姿が、実りの秋の充実した姿と重なって古の人々の心を捉えたのだろうか? また、小さく楚々とした野の花が風に靡く姿は、秋の夕暮れを侘しく感じさせるかも知れない。様々な思いを寄せて、多くの万葉人がたくさんの歌を詠んだのだろうか? 痩せ地でも良く育ち、根も良く張るのでハギは道路の切り土の斜面、砂防の現場で緑化資材としてヤマハギ、メドハギが使われていて、道路の斜面でもこの時期しばしば目にする。 昨日、散歩の途中で見た土手のヤマハギかミヤギノハギかが、零れダネであちこちにで藪状に生えていて、花も少し咲いていた。 英名ではBush clover(ブッシュクローバー)と呼ばれていて、その名の通りだと実感した。 <散歩中の土手にて> 去年露地で見た「メドハギ」も、マメ科の仲間で帰化植物の「アレチノヌスビトハギ」も以前と同じ場所からまた今出て逞しく伸びていた。 近くの公園のナツハギ(夏萩)と呼ばれるミヤギノハギ(宮城野萩)も、もう開花していた。 今年6月中旬、出かけた仙台宮城の野草園で見たミヤギノハギ(宮城野萩)は、やっと小さな一株が少し開花していた。 もうあれからひと月経つが、萩のトンネルもミヤギノハギで半分以上は覆われている頃であろうか? <公園のミヤギノハギ> 「秋萩の古枝に咲ける花見ればもとの心は忘れざりけり」(古今和歌集 219) 「宮城野のもとあらの小萩 露を重み風を待つごと君をこそ待て」 (古今和歌集694) 「咲き初めしハギ叢(むら)を縫うしじみ蝶ひとつふたつのもの想いあり」(鳥海昭子) <ハギ(萩)> マメ科ハギ属 学名:Lespdeza sp. 英名:Bush clover(ブッシュクローバー) 別名:ニワミグサ(庭見草)、ハツミクサ(初見草)) 他 原産地:日本、朝鮮、中国などの東アジア 開花期:6〜10月 草丈:150〜250cm 花色:赤紫・白 「鉢植えの江戸絞りの萩秋待たず真夏の陽射しに咲き盛りおり」 「伐られたる鉢の萩枝去年より勢い成して長くしな垂る」 「IL DIVOのCD聞きつつ書き終えし根強き萩の優しき花記事」 「江戸の粋集めて咲くか萩の銘江戸絞りの花着物柄のごと」 |
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内 容 | ニックネーム/日時 |
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「IL DIVOのCD聞きつつ書き終えし根強き萩の優しき花記事」なにげなく新しい一花さんの歌ですね。うちの萩はまだですよ |
hanahana 2007/07/07 21:17 |
早いですね!梅雨時期に萩の花とは・・・☆でも、すごくかわいい色合いですね。絞りの雰囲気ですね。秋の萩はなんとなく寂しさとか侘しさとか感じますよね・・!一花さんは物知りなのですね、勉強になります☆ |
meushiちゃん 2007/07/07 21:32 |
エドシボリは白地に赤紫でキハギに似ていますね。しかし、キハギは白地に青紫ですがエドシボリは白地に赤紫でこちらの方が艶やかですね。ミヤギノハギは年に2回咲くのか初夏から秋まで長期間咲くのか調べていますが、どうやら6〜7月に1回目の花を咲かせて、秋に2回目を咲かせる様ですね。先月咲き始めたミヤギノハギは今、そろそろ終わりになって来たようです。そちらの公園のミヤギノハギも同様ですかね? |
デコウォーカ 2007/07/07 21:45 |
一花さんちでは、育て主に似て、なんちゅらならんむぞかぁ〜!という風情の江戸絞りの萩が咲き出したのですね。白とピンクで、やさしい色あいですね。もう見頃とはひと足早く、うれしいものですね。山や雑木林のはずれで普通にみられるヤマハギは、もっと遅くならないと咲きません。 |
なおさん 2007/07/07 23:10 |
hanahanaさん、こんばんは。お疲れのところ、こちらにもコメント有難うございました。はなはなさん宅には萩が植えてありましたか? |
hanahanaさんへ 2007/07/08 00:33 |
meushiちゃん 、こんばんは。コメント有難うございます。 |
meushiちゃん へ 2007/07/08 00:44 |
デコウォーカ さん、こんばんは。コメント有難うございます。去年の秋は萩研究を課題にされるぐらい、まめまめしく熱心にされてましたね。 |
デコウォーカ さんへ 2007/07/08 00:52 |
なおさん、こんばんは。コメント有難うございます。 |
なおさん へ 2007/07/08 01:00 |
携帯への連動なし!とお聞きして安心してこんな時間に又お邪魔してます。(^0^; 典型的な夜型人間、夜行性です。 自宅の庭にも昔、ミヤギノハギの赤と白を植えていましたが、成長が早く、すぐボウボウになってしまうので、切ってしまいました。 エドシボリ、いいお花ですね。名前も粋でいいですね!半分江戸っ子なもんで、こういうネーミングには惹かれます。 |
mint 2007/07/08 03:50 |
一花 |
OSAMI 2007/07/08 06:56 |
江戸絞、うちにもありますが、まだつぼみです。ハギでは、一番に咲きます。アナベルさんがやっと白くなったぐらいのペースです。 |
ひめだか 2007/07/08 09:01 |
mint さん、お早うございます〜。真夜中の3時ですか?集中できますが、寝不足大丈夫でしょうか?私も実は昔は典型的な夜型人間、夜行性でした。休日前は今でもそんな感じで、ゆっくりと朝寝しています。 |
mint さんへ 2007/07/08 12:06 |
OSAMIさん、お早うございます。コメント有難うございます。 |
OSAMI さんへ 2007/07/08 12:10 |
ひめだかさん、こんにちは。コメント有難うございます。 |
ひめだかさんへ 2007/07/08 12:21 |
一花さん、もう!はやハギですか。秋の花が咲き出したのですね。 |
彦左 2007/07/10 13:21 |
彦左さん、こんばんは。こちらにもコメント有難うございます。 |
彦左 さんへ 2007/07/10 21:51 |
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