伊勢旅行3(二見浦夫婦岩)

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    <二見浦夫婦岩>

「かわらじな波はこゆとも二見潟妹背の岩のかたき契りは」(本居宣長)

日本の渚百選に入っている伊勢志摩国立公園内の二見浦海岸。
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        <二見浦海岸松林>

今一色から松下までの二見浦海岸は、かつては「清き渚(清渚(せいちょ)」と呼ばれていた。古くから禊浜として、伊勢参宮を間近かに控えた人達が、その浜辺で汐水を浴び、心身を清め禊祓いをされた禊場であったそうだ。浜参宮とは禊浜に参宮することで、それを済ませてから伊勢神宮に参拝するのが習わしとなっているそうだ。(伊勢市観光協会パンフより)

現代の浜参宮は、二見輿玉神社に参拝して、浜で採取された無垢塩草でお祓いを受けて禊に代わっているそうだ。
     
「二見潟神さびたてる御塩殿幾千代みちぬ松かげにして」(鴨 長明)

二見の浜には、御塩浜と呼ばれる入浜式塩田で毎年土用に海水を採取され、御塩焼所で焚きあげられて荒塩が作られ、御塩殿で三角錐の土器に詰められて焼き固められで堅塩が出来るそうだ。これは伊勢神宮にお供えされる御塩となる。

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          <夫婦岩>
 
この二見浦海岸の沖合い700m先の海中に、猿田彦大神縁取りの霊石である「輿玉神石」が鎮座している。
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       <二見輿玉神社鳥居より夫婦岩>

「初富士の鳥居ともなる夫婦岩」(山口誓子)

その近くに見える二つの大小の岩に大注連縄が掛けられて夫婦岩と呼ばれており、夫婦岩の中央から5月から7月に美しい朝日が拝めて「日本の原風景」として全国に知られている。お正月の初日の出を此処で拝む人も多く、旅館街は予約で満杯だそうだ。
また、11月~2月は月の出も拝める。

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早朝に二見浦の浜辺を散策して夫婦岩の初日の出を見る予定だったが、生憎雲っていた。神社にお参りをして、波打ち際の浜辺を散策すると、雲の切れ間には朝焼けが見えてきた。満ち潮となったのか、たまに大きな波が岸壁に打ち寄せて砕け、波の飛沫が服にかかってしまった。

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此処には蛙の置き物が多く、二見浦にある二見興玉神社には猿田彦大神を祀神として、そのお使いが蛙であったため、カエルの置物がこの町のシンボルのようだった。お守りとして柘の小さな根付を求めてきた。

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また昔から此処は景勝の地として多くの人たちが訪れており、この地を詠まれた歌碑句碑も多く建立して、文学碑の道としても新しく観光の呼び物となっている。
 
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「うたがうな潮の花も浦の春」(芭蕉)

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     <かえるの石碑>

「かえる かえる 二見のかえる なぁにがかえる なんでもかえる ふしぎとかえる かえるかえる」(清水みのる)

此処の二見浦海水浴場は明治15年に日本で初めて海水浴場として開設され、大正天皇も幼少の頃に訪れて賓日館に宿泊なさっておられたと言う。

「浪越すと二見の松の見えつるは梢にかかる霞なりけり」(西行)
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         <二見浦海辺・早朝>

二見浦海岸沿いの宿の方を歩くと、今では珍しい木造三階建ての純和風旅館や、重厚な木造の建物が軒を連ねていたが、一軒だけ近代ホテルが建って町並みの景観が損なわれた感じだった

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        <夫婦岩表参道>

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                <夫婦岩表参道旅館風景>
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やはり此処にも時代の波が押し寄せてきているようだ。この古い旅館を継ぐ者は都会に出て帰って来ず、何件も雨戸を閉めてある旅館が目に付いた。若しかして夏場の海水浴シーズンは賑わって合宿として使われるのかも知れない。
昨日・一昨日とアップした賓日館も跡を継ぐ方が違う職業になられて、町に寄贈されたと聞いた。由緒ある古い建物を維持管理するのは大変なことだ。
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             <夫婦岩表参道旅館風景>
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「かむかぜの伊勢の浜荻折り伏せて旅寝やすらむ荒き浜辺に」(万葉集巻四・500)

宿泊した旅館のお子さんも今都会に出て帰ってこないと女将さんが話しておられた。昭和時代の和風旅館の床の間には、優しい色のスイトピーが春の香を運んでくれていた。
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旅館の窓辺からは、松林を抜けて海が良く見え、打ち寄せる波音が聞こえ、荒ぶる波の様子も見えていた。此処は夏場も海水浴で賑わうので長く逗留する人も多いことだろう。
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        <旅館窓辺より二見浦海岸>

松の根元にはたくさんのフキが自生しており、また崖にはヤブツバキの花も見られた。
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蛙の置き物もまた必ず帰ってくると言う違った意味合いも籠められて、家の外に置いてあるようだった。
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「早朝の浜辺に満ちる汐波の寄せて砕けて飛沫と散りぬ」

「荒波に濡れつつ揺れて注連縄の固く結ばる夫婦の岩に」

「沖合いに大小見えて粗き岩注連縄結ばれ夫婦となすも」

「必ずも息(こ)は帰るよと軒先の旅館に置かるる蛙の置き物」

「早朝の海辺の潮風冷気帯び波間に群がり飛び交うかもめ」